特許,商標,著作権,不正競争防止法など知的財産に関する法律問題を鮫島正洋が解決!

本当に勝てるのかな?

ひきつづき,勝訴可能性を予測します。

1.文言該当性

侵害との判断に至るためには,クレームの一言一句が侵害物件に該当しなければならない,というのが原則です。
しかし,往々にして,「該当するのかな?」という箇所が生じます。
クレームの文言解釈手法については,講学的には特許法70条の解釈問題になりますが,多くの判例の蓄積がされ,専門家による判断に委ねることが適切であると考えられます。


2.立証可能性

訴訟に勝つためには,侵害者が御社の特許を侵害していることを「立証」(「証明」ともいいます。)しなければなりません。
この「立証」は,「経験則に照らして全証拠を総合検討し,・・・高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑を差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし,かつ,それで足りるものである」とされています(最判昭50・10・24)。これを数値化するのは難しいのですが,あえて数値化するならば,証明しようとしている事実の存在(又は不存在)の可能性が80%程度以上であるとされることが多いようです。

そして,訴訟では,裁判官をこのレベルまでの確信を抱かせるまで説得するための証拠を提出しなければならないのです(弁論主義の第3テーゼ)。
特許侵害訴訟では,侵害者の製品(行為)が御社の特許のクレームに該当することを,書面や実験データなどの証拠に基づき立証しなければなりません。


3.有効性

特許発明が新規性・進歩性を有しない場合等には,特許無効審判が請求されると,特許が無効にされます(特123条)。
無効審決が確定したときは,特許権は,初めから存在しなかったものとみなされます(特125条本文)。
侵害訴訟を提起した後に,特許が無効になってしまったらば,原告敗訴ということになります。
したがって,訴訟を提起する前に,御社の特許の有効性を検討しておく必要があります。

また,従来,裁判所は特許の有効性を判断することができないとされていましたが,キルビー判決(最判平12・4・11)及びそれを立法化した特許法104条の3により,当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるときは,権利を行使することができないということになりました。
これを受けて,現在では,ほとんどの特許侵害訴訟において,被告から特許法104条の3の抗弁(「無効の抗弁」ともいいます。)が主張されることとなりました。
したがって,訴訟を提起する前に,御社の特許の有効性を検討しておく必要があります。

「当該特許が特許無効審判により無効にされるべきものと認められるとき」の解釈については,「単に特許庁における無効審判の審決の結果を予想して無効の抗弁の可否を判断するわけではなく,審決取消訴訟を想定して,当該無効審決が審決取消訴訟によっても維持され,その判決が上告審においても維持される旨の心証を形成した場合に初めて無効の抗弁を認めるべきであろう。」と東京地裁知財部の清水節裁判長が書かれていますので(飯村敏明・設樂隆一編著『リーガル・プログレッシブ・シリーズ知的財産関係訴訟』127頁~128頁),現在の実務もこれに従っていると思われます。

審決取消訴訟で進歩性が問題となっている場合においては,無効不成立審決の取消率(57%)の方が,無効審決の取消率(11%)より高いという現実があります(平成18年のデータ(『知財管理』Vol.57No.92007))。
このことから,一般に,進歩性の判断は特許庁より裁判所の方が厳しいと言われています。
したがって,特許権者たる御社としては,御社の特許が裁判所における厳しい進歩性判断をクリアするものでなければならないという点には,注意が必要です。

無効の抗弁における特許の無効理由については,特に限定はなく,特許法123条1項各号に規定される無効理由がいずれも主張されえます。
中でも,進歩性違反(特29条2項)により無効と判断されることが圧倒的に多いので,先行技術調査を徹底的に行うことが極めて重要となります。
また,記載要件違反(特36条4項1号,6項),の主張も被告から多くなされますので,例えば,実施例の追試が可能かどうかも検討する必要があります。
補正要件違反(特17条の2第3項)や,御社の特許が分割出願に係る場合の分割要件違反(特44条1項)についても,慎重に検討することが必要です。

無効の抗弁に対しては,特許権者は,再抗弁として,以下の1~3を主張立証することにより,当該抗弁を排斥することができるとする裁判例があります(東地判平21・2・27「筆記具のクリップ取付装置事件」)。

1.原告(特許権者)が適法な訂正請求又は訂正審判請求を行っていること

2.当該訂正によって被告(侵害者)が主張している無効理由が解消されること

3.被告製品(侵害者の製品)が当該訂正後の請求項に係る発明の技術的範囲に属すること

この特許権者の再抗弁に対しては,当該訂正後の請求項に係る発明に,新たな無効理由が存在することが侵害者の再々抗弁となると考えられます(東地判平19・2・27「多関節搬送装置事件」参照。)。

⑷他の抗弁
⑶の無効の抗弁以外にも,先使用権(特79条),試験又は研究のための実施(特69条1項),国内消尽,並行輸入,権利者の一機関としての実施など,事案に応じて,予測される相手方の抗弁について検討する必要があります。
詳しくは,【クレームに該当していれば勝てる?】

以上をフローチャートにすると以下のようになります。




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